「つながり直し」のプラットフォーム

ひまわり
※この文章は、株式会社きもちとしくみ主筆 前野芽理が書いています。

「孤立のリスク」は誰にある?

友人のお父さまが亡くなられたと聞きました。
首都圏の、都心部からちょっと離れた見晴らしのよい住宅街のご自宅で、誰にも看取られることなくひっそりと旅立たれたそうです。発見が遅れたこともあり、一人娘のS美は、荒れたおうちの後片付けもさることながら、警察に事情を聴かれたりして大変だったとのこと。
S美がご両親と距離を置きたくて実家を離れてアパートで独り暮らしをしていたこと、お母さまが何年か前に認知症を発症されて施設に入られたことまでは、前から知っていたけれど。
実家に戻った背景に、そんな事情があったのね。

当時の前野はいわゆるワンオペ育児の真っ最中。
田舎の都会と揶揄されるような地方都市の城下町、古くて小さな借家住まいで、幼い4人の子供の育児の残りカスの時間と体力で小さな仕事をこなしつつ、洗濯物をたたみ終わった真夜中、お湯を注いだカップラーメンがほぐれる前に寝落ちする、てんやわんやの日々でした。
かたや、S美は。
お母さまには蓄えがあり介護費用の心配もなく、お父さまの残したローン完済庭付き一戸建てに悠々ひとり住まい。フリーランスで働きながら、休日は趣味の世界に没頭。自分のこだわり最優先の生活は、うらやましいの一言です。
勢い余った羨望で「あなたもお父さまみたいにならないように気をつけなさいね」なんていうドス黒いアドバイスが口からこぼれてしまいそう。

とはいえ、うちも子供が4人いたって全然安心できないけどね。
わたし、最近、テニスのダブルスの試合見てると、あの黄色い球が老後の自分に見えて仕方ない。

その心は?

うちの子ら4人して親の介護を押し付け合って、お鉢が回ってくるたびに、ああやって打ち返し合うんだろうなと。

そんな心配するんだったら、もうちょいお子さんをかわいがって、恩を売っておけばいいのでは。
今からでも遅くはないわよ、頑張って!

いやいや、もう無理。これ以上頑張れませんって。
4人の子供の食費と教育費でろくに蓄えもできないし、老後はスッテンテンだよ、まじで。

でも芽理さんは、ご近所さんと支え合って、たくましくやっていけそう。
あなた、以前に町内会長やってたって言ってたじゃない? PTAも長年役員やってるし、お友達がたくさんできたでしょう。

あんなの、誰もやりたがらないから仕方なく引き受けただけよ。
やればやったでそれなりに楽しいこともあるけどね。ボランティアというと聞こえはいいけど、単なる無料労働だから。
町内会とPTAにかけた時間と体力を時給換算したら、一体いくらになるのかと。

立派な社会貢献じゃないの。芽理さん、いまや地域の重鎮なのでは。

ところがどっこい、その逆かもよ。
わたし、しがらみクラッシャーだから。

なにそれ。

しがらみクラッシャー

わたしたちは日々たくさんの『しがらみ』の中で生きています。うざいですね。
ここでは、家庭および親戚付き合い、町内会やPTA、ご趣味の会など、暮らしにまつわる『しがらみ』をテーマに掘り下げてまいります。
なお、当然ながらビジネス界にもさまざまなしがらみがうず巻いておりますが、うざいのどうのという次元の話ではございません。長い付き合いだからとか、みんなも飲んでる条件だから等、その他、商慣行にかかる諸課題はすみやかに公正取引委員会にご相談ください

さて。
しがらみクラッシャーとは、日々の暮らしにまつわる面倒くさい『しがらみ』をガラガラポンとリセットしちゃう人のことです。
町内会も、PTAも、親戚づきあいも、何なら家族の支え合いでも、やりたくなければ、やらんでよし!
「それができれば苦労はしない」と善男善女の皆さんがおっしゃるそれを、軽々とリアルに実行してしまうのが、しがらみクラッシャーなのです。

『しがらみ』で窒息する城下町の暮らし

前野の暮らす城下町は、まさに『しがらみ』のるつぼ。
街を歩けば創業は江戸時代とかいう老舗がひしめきあい、山に登ればローカル偉人の記念碑が要所要所に立ち並ぶ。
地域コミュニティの牙城たる公民館には無駄に元気なシニアが跋扈、町内会やPTAでは「ずっとやってきたから」という理由以外に意義のない当番が連綿と踏襲され、親戚間ではお祝いとお祝い返しのラリーが続く。
芸術文化、伝統工芸、ご当地文化人プレゼンツの何とか講座も、「興味ない」とか言えない空気。

これらのものを粛々と受け流し、やり過ごすのが大人のしぐさ。
だけど皆さん、ホンネを言えば、窒息寸前なんですよ。

孤立するのがこわいから。
みんなやってるから。
どうせ変わらないよ。
恐怖と惰性とあきらめの三拍子、しがらみワルツをしぶしぶ踊る、それが田舎の城下町。
一度きりの人生を世間に合わせることに忙殺されて、やりたくないことやらされて、感受性すり減らして、だんだん意地悪になっていく。
「あの人だけやらないなんてズルイ」というフレーズを、わたしは何回聞かされたやら。

皆さん、このしがらみが嫌いなんでしょ。でも、やめ方がわからないんでしょ。
それでは、斬ってしんぜましょう。
世間体より、まずは自分が大事です。
見捨てる正義もありますよ。

『しがらみ』から解放されたら、人は幸せになれるのか?

さて、そんなわけで。
主婦であるがゆえにわが身に降り注ぐ数々の諸雑用を、ばっさばっさと統廃合してン十年。
半径3㎞随一のしがらみクラッシャーとして、町内会PTAの活動内容大幅削減は言うに及ばず、親戚づきあい8割自粛、既得権益集団化したご趣味の会の無期限休止など、とにかくいろんな『しがらみ』をスクラップ&ビルドしてまいりました。
当然、相手あってのしがらみです。しがらみクラッシャーは数々の反発をとまどいを巻き起こします。たまーに感謝されたりもします。
周囲の反応はさまざまですが、何はともあれ、やればやったで、惰性の波は止まります。

でもね。

今、振り返って思う。
あのわたしが断ち切ったのは本当に『しがらみ』だったのだろうか。

グダグダの町内会まつり、PTAの役員押し付け合い合戦、盆正月の実家のエンドレス宴会、断り文句に毎度苦慮する種々のお誘い、それらのものがキレイさっぱりなくなって、ずいぶんラクになれました。
でも、長い目で見て、それってほんとにハッピーかしら。
わたしが斬り捨ててきたものは、しがらみではなく、実は『つながり』だったかも――

つながり直すチャンスがあれば

世界中どこでもそうでしょうけれど、このしめっぽい城下町にもいろんな人が住んでいます。
しがらみクラッシャーは、わたし以前にもちらほらいらっしゃいました。
その方が今、どのように日々をお過ごしになり、どういうふうに子育てをして、今、どんな老後を迎えておられるか。
いかに他人に無頓着なわたしとて、うすうすお察しいたします。
とはいえ、どんなに孤独にさいなまれても、あのしがらみ多き生活に戻りたいとは恐らく思ってないでしょう。

だけど。
もし、あれとは別のやり方で、もう一度、自分の周囲の人々とつながり直すことができたならどうでしょう。
あの人たちの、そしてわたし自身の未来は、少しより良いものになったりするかもしれません。

ざっくり言うと、こんな感じの課題意識と言いますか。

説明ながっ!
要するに、

★ 『しがらみ』を嫌って身近な社会とのかかわりを断ってしまうと、リアルワールドで孤独の危険。

★ かといって、ご近所付き合いとか身内意識とか町内会・PTAとか、既存の価値観に立脚したつながり方には、限界がある。

★ 孤独に陥りかけた人でも、面倒くさいしがらみから解放されたコミュニティが身近にあれば、社会とつながり直せる(かも)。

って、言うのは簡単だけど、具体的にはどうやって?

『どこでも・だれでも絶対うまくいく方法』なんて、この世にあるわけないんだよ。
同じ国でも住む地域が違えば慣習も違う。家庭環境によっては注げるリソースも限界があるし、健康状態だって人それぞれ。
思い立った人ができることを、今いる場所でコツコツやるしかないのよね。
というわけで。
提案としては、まずは具体の施策の前に、「つながり直し」を模索する人たちが集える場所をつくる。
狭い地域社会では、課題意識はある程度共有できても、一緒に汗をかいてくれる仲間を探す人となると意外と見つからないんだよ。
より広く、関心の高い人たち同士で、ノウハウやスキルを交換し合えたら、効率的かつモチベーションにもつながる。

「つながり直し」のプラットフォームの構築か。
私にも取っ掛かりとしてはちょうどよさげ。会計や名簿データ管理のスキルは提供できるから、そんなところから話題に入っていけそうな。

いや、そのスキル、普通に自分ちの町内会に提供しなよ。普通に。

でも、ご近所はうざいから。

さもありなーーーん!

しがらみクラッシャーと「つながり直し」

というわけで。
世の中の暗黙のルールに忖度ゼロのしがらみクラッシャーだからこそ、提案できる「つながり直し」の形がきっとあるはずです。
このホームページでは、全国のしがらみクラッシャーの活動を随時ご紹介しながら、業務のIT化、データ管理、チラシ作成など、「つながり直し」の仕組みづくりのご提案をしていきます。
運営上の素朴な疑問やお悩み相談などございましたら、当社までぜひお気軽にお問い合わせください。身近な人だからこそいうに言えないナイショの愚痴も大歓迎!

この記事は、(株)きもちとしくみ主筆 前野芽理が書いています。 コラム、販促記事などの執筆のほか、司会業、セミナー支援も承ります。

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