読書メモ『集中力はいらない』森博嗣

自分がやっていること、自分がしたいこと、そういった主観的な立場や欲望に集中することは、つまり周囲が見えていない状態であり、これではコミュニケーションも浅いものになるし、信頼できる人間だと認められることはない。その意味でも、視点を集中せず、いつも多視点で観察することが重要である。そんな姿勢が、かえって疲れない自然な思考と行動へと導くだろう。

森博嗣.2018.『集中力はいらない』SBクリエイティブ株式会社

 あるとき、うちの会社のみっちゃんが激しく森博嗣作品を勧めてきた。取りあえず図書館で手っ取り早く借りられた本を適当に読んだ。そして、出会ったのがこの文言なのである。
 正しくは、やはり文筆家としての氏のご専門たる小説を読むべきなのだと一応ちゃんと分かってはいる。だがしかし、たまたまエッセイ読んじゃった。氏の小説のいろんな1巻が全部貸し出し中だったので。

 基本的にわたしは書物を勧められるのが好きだ。そのジャンルに興味がなければないほどいい。そうでもしないと広がらない。
 根っから怠惰な人間なので、自分の力で自分の知識を押し広げるガッツがないのである。あまりにガッツがなさ過ぎて、他人のオススメを「興味がない!」と突っぱねるのも邪魔くさい。拒絶するより許容した方がラクなのだ。しょうがないなーもー的に取りあえず読む。読んだからには理解に努める。
 したがって、わたしの辞書には「わたしに分るように説明しろ」という文言はない。もともとわたし向けではない言葉を、わたしが勝手に読んでいるだけ。書き手にしたらほとんどもらい事故なのだ。

 零細企業なるがゆえ、日々の仕事もいちいちブランニューである。頂く案件すべてをありがたくお受けするより他ないわけです。ここまでくると(どこまで来てるのかお察しください)、予備知識がないからできないとか、苦手っぽいからやりたくないとか、そういう贅沢は言ってられません。「受注しました、内容確認しました、頑張りました、納品しました」の4ステップがあるだけです。PDCAサイクルなにそれおいしいのの世界。

 まあ、ビジネスは良いですよ。取りっぱぐれさえなければ100%面白い。金銭は正義。
 それはさておき、わたしにしたら興味ややる気の有無にかかわらず、携わり続けている最たるものが町内会とPTAなわけですよ。完全なるしゃーなし、完膚なきまでの惰性、断るよりもやっつけた方が早いから引き受ける。たまに我に返ってさぼっていると、知らぬ間に変な揉め事が起きたりなどして延焼くらうこともしばしば。どちらかというと厄除け気分で担い続ける、町内会とPTAの「お仕事」なわけですよ。
 だがしかし、やればやったでやっぱりいいことありますね。

 たまたまそこに居ただけで、うんもちゅんもいわさず無縁ではいられなくなってしまうのが町内会とPTA。そこで織りなす人間模様のほとんどは「しょうもなー」の一語に尽きる。何をそんなにもめてるの。見て見ぬふりは許されず、すぱっと問題解決したとして、それはそれでまたナマイキだとか恨まれる。
 出る杭は打たれるどころの騒ぎではありません。出て打たれ、出なくて打たれの世界です。

 だがしかし、
 望むと望まざるとにかかわらず出会った人から、まるで宇宙から飛来した隕石にぶち当たるようにして、思いもよらぬ優しさを賜ることもあるのです。
 詳しいことは割愛します。冒頭の森氏の引用は、わたしにとてもしっくりきます。

 ねえ、みなさん。出会いとは、なんなのでしょう。
 あなたがもしも地域や職場やその他もろもろ人と人とをつなぐ場のお世話をしている人ならば、わたしは言います。ありがとう。
 いつかで会える日のために、先払いにて御礼申し上げるのです。

ご査収ください。

この記事は、(株)きもちとしくみ主筆 前野芽理が書いています。 コラム、販促記事などの執筆のほか、司会業、セミナー支援も承ります。

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